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ーasahiー
第10章 ライバル


「藤原さんさっきの彼女サンですか?
邪魔しちゃってたならすみません」


申し訳なさそうに頭を下げるのは
相良 陸(さがら りく)と言って
同じ課の部下だ。
そう対して目立つ風貌ではないが
眼鏡の似合う好青年。
28歳の割には幼さが残り
背丈は修より低い位である。


「いや、気にしなくていいよ
相良君も疲れたろ。
今日は出すから沢山食べな」


「はい。じゃ遠慮なく」


小料理屋に足を運んでいた二人は
多少ではあるがアルコールも入り
はじめこそは仕事の話しをしていたが
次第に恋愛の話しへと変わっていった。


「藤原さんの彼女サンが羨ましいです
こんなしっかりした彼氏だったら
文句付けれないですよ」


「俺にだって欠点はあるさ」


特に彼女という所を否定する訳でもなく
謙虚に答える


「いや、藤原さんは完璧ですよ
完璧でいてくれなきゃ」


冗談混じりに言う割には
目が笑っていないのを
修は見落とさなかった。


「なぜ相良君が困るんだ?」


笑いながら返すも
返事を聞くのが少し怖くもあった。


「アサヒサンを泣かせるなんて駄目ですよ
それに、藤原さんが彼女サン泣かせるようなら
俺が怒りますからね」


「名前知ってたのか…?」


「いつもしているネクタイピンに
asahiって入ってたから…」


「そうか」



それ以上聞いてこないことに
安心した修はこれと言って
相良に不信感を持たなかった。




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