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ーasahiー
第12章 その後のふたり
「社長時間がないのでこのまま
次の取引先に顔出しにいきますよ」
「はーい。」
「社長らしくお願いしますよ」
「分かってます」
溜息を吐きながらミラー越しに目が合う。
ノートパソコンを見ながら
他の仕事も進めているようだ。
「社長…」
「あ、ごめん…何?」
「ネクタイ曲がってますよ」
慌てて直す仕草はまだ社長らしくない。
「慣れないですね」
「何がですか?」
不満があるのか口をヘの字にさせ
ミラー越しに訴える。
「二人っきりの時位さ
旭っつ呼んでくださいよ」
「駄目です。公私混同は…」
「はい…」
再びパソコンに視線を戻し
カタカタと軽快にキーを叩く。
「修が運転しなくてもいいのに」
なにやらブツブツ言いながらも
しっかりと仕事はしているようだ。
時折眉間に皺を寄せ難しい顔をする。
「社長、コレどうぞ」
「え?分かったの?」
「えぇ」
渡したのはチョコレート。
最近はまってるらしく疲れた時や
行き詰まった時必ず口にしていた。
「さすがです。」
「いつも側にいますからね」
目を細め笑う顔が愛おしい。
俺の最近はまってる事は
ミラー越しに旭をみる事だったりする…
普段見せないような仕草が
ふとした瞬間に出る。
「あんまり見られると恥ずかしいです」
照れくさそうに目元を隠し言葉を発する。
こんな表情ですら可愛く思えた。