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地を這う蜘蛛
第1章 地を這う蜘蛛

さて、印象的なエピソードだね。
ある男の話だ。もちろん名前などは知らない。神経質な感じがする大人。年齢的には私と変わらないだろう。ラフな格好した小柄な大人。
仮名だけど「小菅」としておこう。
私が列車に乗る時には常に前方の左扉を占拠している。寄り掛かるようにね。窓の外を見る訳でもなくスマホを凝視しいつもパンパンのリックサックを背負っていた。おそらく製造業で工業地帯があるH駅までの乗客だね。
一度だけ肩がぶつかり私は頭を下げたが見事なまでに無視された。
古い分厚い眼鏡の奥はやはり神経質に思えたが、こちらを見る事は一切なくあまりいい印象はない。
ある朝 いつもの時間。車両事故があり私はホームにて立ち往生をした。
要は飛び込み自殺だ。私がいつも乗る車両なんだ。
ここのところ本当に多いよね。
かつては人の迷惑を考えろ!などと心の中で叫んだけど、、いつからだろうか、私はご冥福を祈るようになっていた。
誰だってそう、、
明日は我が身で決して他人事じゃない。
そして、、その翌日から「小菅」の姿は定位置から消えた。そして一週間が経ち私は確信した。
「小菅」は列車に飛び込んだ、とね。
ある男の話だ。もちろん名前などは知らない。神経質な感じがする大人。年齢的には私と変わらないだろう。ラフな格好した小柄な大人。
仮名だけど「小菅」としておこう。
私が列車に乗る時には常に前方の左扉を占拠している。寄り掛かるようにね。窓の外を見る訳でもなくスマホを凝視しいつもパンパンのリックサックを背負っていた。おそらく製造業で工業地帯があるH駅までの乗客だね。
一度だけ肩がぶつかり私は頭を下げたが見事なまでに無視された。
古い分厚い眼鏡の奥はやはり神経質に思えたが、こちらを見る事は一切なくあまりいい印象はない。
ある朝 いつもの時間。車両事故があり私はホームにて立ち往生をした。
要は飛び込み自殺だ。私がいつも乗る車両なんだ。
ここのところ本当に多いよね。
かつては人の迷惑を考えろ!などと心の中で叫んだけど、、いつからだろうか、私はご冥福を祈るようになっていた。
誰だってそう、、
明日は我が身で決して他人事じゃない。
そして、、その翌日から「小菅」の姿は定位置から消えた。そして一週間が経ち私は確信した。
「小菅」は列車に飛び込んだ、とね。

