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あれはぼくが21歳の時
第1章 電器店のアルバイト
その売り場に、沙織さんがいた。
量販店2階のオーディオコーナーが、ぼくと沙織さんの担当だった。

沙織さんは、年上の店員さん。色々と、仕事を教えてくれた。
制服姿が、まぶしかった。


ちょっと可愛い子。
小柄で、長い髪。
制服がとても似合っていた。

細い体だけど、出るところは出ている。
古い言葉、トランジスターグラマーって言うのかな?

キラキラした瞳で
○○君、今度飲みに行かない?
って、ぼくを誘ってきた。

えっ?

ぼくは付き合っている娘がいた。
セックスもそれなりにしていた。

でも、他の女性とのセックスはどうなのか?
ずっと思っていた。
恋人以外の女性の体と、恋人以外のセックスに、ずっと興味があった。


沙織さんは、どうしてぼくを誘ったのだろう。

色々考えたが、答えが出るわけではない。
付き合っている娘がいるからって、
他の女と飲みに行くことが、ダメってことは無いだろう。

それに、ただ飲むだけだから
(内心それ以上を期待していたけど)

そうして、ぼくは沙織さんと飲みに行った。
楽しく飲んだ。

酔って来ると、沙織さんが瞳をきらきら輝かせながら、聞いてきた。



ねえ、彼女とはセックスしているの?

ええ、まあ…

ぼくは、ドギマギして答えた。

酔った赤い顔が、ほてって来るのを感じた。
酔っていたせいではない。

そんな風に、女性からストレートに聞かれたことがなかったからだ。

かわいいね、○○君。

沙織さんはそう言うと、ぐいっとビールのジョッキを傾けた。
おいしそうに飲むと、

「あー、わたし酔っちゃったなあ。これから、今日だけ、○○君の恋人になろうかなー」

「え?それは…、ぼくは構いませんけど…」

ぼくの声は、かすれていたかもしれない。


「今日だけ、恋人にしてくれる?本当?うれしい!」

そう言うと、沙織さんは声を上げて笑った。

笑顔と同時に、ぼくに体をあずけてきた。

体と体が触れあう。

髪のいい香りがした。


沙織さんの体重がぼくにかかる。

女性の弾力のある体が、心地よい。


店を出てからも、沙織さんはぼくに体をぴったり寄せて、恋人のように二人で歩いた。

二人はホテル街に歩みを進めた。


そこまで歩くと、二人の会話が途切れた。
押し黙ったままの二人。

今まで楽しく話していた二人の間に、静寂の時間が流れる。

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