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女ゴロシの達人 健造さん
第2章 押しに弱い麻衣ちゃん
男が、髪にちょっと触れた。

麻衣ちゃんは、言った。
「さ、そろそろ帰りましょうか」

「もうちょっと、いいんじゃない」

「朝の搾乳(作業)何時からですか?寝不足はダメですよ」

「いや、その時は、からだシャンとするから、大丈夫だよ」

「作業の安全のため、睡眠はちゃんと取らないとダメですよー」
その時は、男の指は、麻衣ちゃんの髪を撫でながら、時々首筋に指を触れていた。

「くすぐったい?」

「うん、ちょっと」

「あ、ゴメン」
と言いながら、男は指の動きを止めない。

「あ~、暑い、ちょっと酔っちゃった」
麻衣ちゃんは、男の指から逃げるため、身体の向きを変えると、両手で顔をあおぎながら、風を送るかわいい仕草をした。

「上着脱いでいいよ。なんなら、パンツ一丁になってもいいよ」

「ぷふ、もう、何言ってるんですか」
麻衣ちゃんは、吹きだすと、可愛い声で笑った。

「もーお、お下劣なこと、言わないでくださいよ」
優しく怒ってみせる。

「あ、そうだね。パンツ一丁になるの、俺の方だね」

「ちょっと、ちょっと、本当にならないでくださいね。不審者として、通報しますよ」
やっぱり麻衣ちゃんは優しい。健造さんのくだらない話にも、合わせてツッコミを入れてくれる。

「いやー、それは、勘弁して欲しいなあ」

二人は、なんだか、キャッキャ言いながら、楽しそうだ。
男のボディタッチが続く。

「うふん、ダメですよ
はい
だーめ」
麻衣ちゃんは、男の手を握って、押し戻す
可愛い仕草
これが、麻衣ちゃんの魅力なんだよな、ぼくはそう思った。

だれにでも、温かく明るく接する
だから、窓口では人気者なんだ。
おじいさんおばあさんはもちろん、おじさん方にも絶大な人気。
麻衣ちゃんが美人さんというだけではないからだ。

麻衣ちゃんと接すると、自然に笑顔になる魅力があるから。

それにしても、この麻衣ちゃんをモノにしようと狙いをつけた健造さんとは、まったくもってたいした人です。

「ああ、そうだ、手相見てあげようか?」

「え?〇〇さん、手相見ることできるんですか?」

「うん、ちょっとだけだけどね、ほら見せて」

麻衣ちゃんは、男に手を預けた。
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