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女ゴロシの達人 健造さん
第1章 酔ってる時の健造さん
結局、この日は、Sさんに関するこれ以上のことは健造さんからは聞き出せなかった。

Sさんって言ったら、J〇でも、一番の人気だ。

勤め始めて1年ちょっとだけど、去年の4月に来た時には、

「今度入った新しい女の子、すごくかわいいよね」

「明るくて美人、愛嬌あって、元気だよね」

とおじ様方にも評判になったことを、ぼくは知っていた。

確かに、美人さんだ。

事務所の、その子の周りだけ、色鮮やかに感じるぐらい。

その子がいるだけで、殺風景な古い事務所が総天然色のカラーになるような華やかさ。
笑顔と表情が豊かで、「え~」とか「きゃはっ」とかわいい声。

性格もすごくいい、優しい娘。
おじさん方の心をキュンとさせる魅力。

いろんな噂があった。

〇〇さんのおばあちゃんが「是非、うちの嫁に」と言いに来て、係長さんがあわてて断った話。

Sさんは仕事も完璧にできるので、理事長さんが「まだ入ったばかりで長く勤めてもらわないと困るから、嫁にはやれない」と言ったとか言わないとか。

ぼくは、その日から気になってしょうがない。

健造さんとSさんの接点について、探ってみた。
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