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リクエストのラストワルツ
第2章 姉のようなひと

対面キッチンになっているワンルームの室内は意外とシンプルに整頓されていて、薄いピンクの花柄のドレープカーテンだけがかろうじて女性の部屋であることを表わしていたが、キッチンカウンターの向こうの同色のベッドカバーが慎也の胸を刺激した。
「ごめんなさいね、狭いからダイニングテーブル置いてないの」
キッチンカウンターを背にして置かれた四角い座卓には、短時間で手際よく作ったと思われる料理がすでにいくつか並べられている。
「あの… これ…」
手 にしていた花束を恥ずかしそうにしながら慎也が差し出すと、
「わあ、かわいい、素敵、ありがとう」と満面の笑みで受け取った冴子は、グラスに差してその真ん中に据えた。
たちまち華やかになったその一画だけ切り取ると、それはまるで新婚カップルのパーティのような景色だった。

