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リクエストのラストワルツ
第4章 初めての一夜

唇に触れた冷たいものを感じて慎也が眼を覚ますと、そこには氷のかけらを口移しで含ませようとしている冴子の笑顔があった。
「そろそろ起きないと遅れるわ」
小さくなった氷を慎也の口に移した冴子が声をかける。
レースのカーテンの向こうに蒼く澄んだ空が見えていた。
「おはようございます…」
裸の上半身を起こしながら慎也は冴子に挨拶をする。
(そうだ… ここは冴子さんの部屋だった)
あれから何度も何度も迎えた絶頂に乱れ、気を失ったように慎也の上で寝落ちした冴子が、まるで何ごともなかったように朝食の支度をしているのを見て彼は一瞬、あれは夢だったのかと思った。

