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リクエストのラストワルツ
第5章 台風の夜

 ランチを終えてティーカップも片付けた冴子はノートPCを取り出してくると、慣れた手つきで通販サイトを開いた。

「慎也くんはブリーフ派なんでしょ?部屋着も一緒に探しましょ。 」
 
 冴子の楽しそうな声に何も返せずうなずいているだけの慎也を置いてきぼりにして冴子のしなやかな指が勝手にページをめくっていく。

「こんなのどう?」

 冴子がポイントしたのはほとんどシースルーのビキニだった。
 
「エロっ」
 
 思わず慎也はそう口走っていた。

「わたしといる時ならいいんじゃやない?」
「会社じゃ穿けないですね」
「そりゃそうよね」

 笑いながら、ホワイトとブラックの2色を冴子は買い物かごに入れる。

「冴子さんのはぼくが選んでいいですか?」

 楽しくなった慎也は、今度は自分でマウスを動かしたが、あまりの種類の多さに迷うばかりだった。

「迷うでしょ?」
「可愛いのがいっぱいですね」

 迷いながら、彼は少し勃起してくるのがわかった。

「いいと思ったのをかごに入れてみて。 その中からわたし選んでいい?」
「はい、そうしてください」

 それでも慎也はさんざん迷った挙句、選んだ5点をやっと買い物かごに入れることができた。

「じゃ、わたしそれ全部買うわ」
「えっ? 5枚とも?」
「うん、慎也くんが来たら着せ替え人形してあげる」
「えええ~?」

 歳の離れた仲の良い姉弟が戯れ合っているような景色が部屋の中にあふれていた。
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