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リクエストのラストワルツ
第6章 海を見ながら

 30分ほど海岸線沿いの道をバスに揺られて灯台前のバス停で降り、少し歩いてから階段を上ると絶景が広がっていた。

「わあ、すごい、きれい!」

 まず冴子が感激の声を上げた。
 秋の乾いた清々しい風がまだ若いススキの穂を揺らし、冴子の髪を泳がせる。

「慎也くんと一緒に来れてうれしいわ」
「ぼくも」

 つないでいた手を前後に振りながら、ふたりはやわらかな笑顔を見合わせた。
 普段、街の中で手をつないで歩くことはできなかったので余計にうれしかった。

「お弁当にする?」
「はい!」

 歩いて行ける近くに食事ができる場所がないことがわかっていたので、館山の駅前で調達した押寿司をふたりは展望台の脇のベンチで開いた。

「買ってきて正解だったわね」

 外でのランチには絶好のお天気だったので、車にしなかったことを少しだけ後悔していた慎也は冴子のその言葉がうれしかった。
 

 1時間以上の時間を快適な空気の中で過ごしてふたりは再び階段を降りる。
 館山駅行きのバス停には、コンクリート製のシェルターのような待合所があった。
 風雨に晒され、汚れもひどかったので座ることはできなかったが、誰の視線もないその狭い空間の中で、その日初めてふたりは抱き合って唇を合わせた。


 洲崎灯台前から15分ほどの停留所でバスを降りて少しだけ坂道を上り、その夜のホテルを見上げながら振り向くと、眼の前の丘陵の下には紺碧の静かな海が広がっていた。

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