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リクエストのラストワルツ
第6章 海を見ながら

海鮮の夕餉をゆったりと時間をかけて楽しんだふたりが部屋へ戻ると、沈む夕陽の逆光に浮き上がっていた富士山の姿もすっかり闇に消え、対岸の三浦半島が示してくれて陸地との境界がわかる海の上にはいくつかの船の航海灯だけが明滅していた。
「カーテン閉め忘れていましたね」
部屋の灯りを点ける前に見えた窓の外を見て慎也が言った。
「そうね…、でもきれい… このままがいいわ」
冴子はそう言うと、慎也の首に二の腕を絡ませて唇を重ねた。
穏やかな、しかしときめくふたりだけの夜の部が始まろうとしていた。

