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リクエストのラストワルツ
第6章 海を見ながら

 慎也が持ってきたテナーサックスのCDを部屋のプレーヤーにかけるとふたりは窓際に立ってお互いの腰に手を回していた。

「外に出ましょうか」

 慎也の誘いに冴子は眼で応える。
 バルコニー先端の転落防止手すりにつかまって立つと、お酒で少し火照った顔に秋の夜風が殊のほか心地良かった。

 黙ったまま冴子が慎也の肩に頭を載せると、慎也は無言で彼女を抱き寄せ、少し間をおいてから唇を合わせた。
 舌先で冴子の下唇をついばみながら甘噛みを繰り返すと冴子の唇が開いていき、洩れる吐息が徐々に大きくなっていく。
 腰に回した腕に力が入り、慎也がそれに応える。

「ああ~ぁ…」

 堪え切れないようにして唇を離した冴子の口から苦しげにも聞こえるような切ない喘ぎ声がこぼれた。

 ワンピースの背中にあった慎也の手がホックを外しファスナーをゆっくりと下ろすと、それに合わせるようにして、彼のシャツのボタンがひとつずつ冴子の指で外されていく。
 肩を抜かれて支えを失った麻地のワンピースが滑るように足元へ落ちた。
 袖を抜いたシャツと重なり落ちたワンピースを拾って慎也はデッキ椅子の絵もたれに掛けると、改めてキャミソールの冴子の背後からきつく抱きしめた。

 すべすべしたキャミソールの上からブラジャー越しに胸が包み込まれるようなやさしさで愛撫され、伸びたもう一方の手は摩擦のない2枚の布の上で、スケートのように指が滑らかに踊る。

「あああ… あああっっ… しんやくん…」

 背中に回った冴子の手が慎也の固くなったものをスラックスの上から握りしめた。

 慎也の首のうしろに回したは彼の後ろ髪をつかみ、反対の手は彼のものを包んでいるファスナーを探り当てて下ろすとこぼれ出た下着の上からそれを激しくこする。

「しんやくん… ほしい… これがほしい…」

 せがむようにして慎也を振り向いた冴子が彼にだけ聞こえる声でささやいた。

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