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リクエストのラストワルツ
第7章 リクエストのラストワルツ
 
 いつものように部屋で慎也に抱かれながら、冴子はさっきのダンスパーティで見かけてしまった顔が頭の片隅から離れなかった。
 それは春に別れた前の教師、そして不倫の関係を持っていた本宮弘明だった。

(知らなかった、来ているなんて… どうして…)

 冴子の感じる場所と方法がわかってきた慎也の指が的確に彼女の体をいとおしむ。

「あああ… はっああああ… いい… 」

 本宮の影を払うように、冴子は感じることに集中しようとしていた。

「そこ、だめ… だめ… あああああ… あっ…」

 泉の中へ差し込まれた2本の指で蜜をすくい出すように内壁の襞を掻きむしられ、その指の付け根で花芯は押しつけられながらこすられて、一気に冴子は坂を駆け上る。

「そんなしたら… あああああ… ああ… おかしくなっちゃう」
「さえこさん… おかしくなって… もっとなって」
「もうなってる… だめ… ああっ… ああああっ… いっちゃうから…」
「さえこさん… きて…」

 一心不乱に冴子はピークへ上りつめる。
 震えていた腿の筋肉が張り、ピンと伸びた脚のつま先が固く閉じられた。

「い、いっちゃう… あ、あ、い、いくいく… いくっ」

 ホールで気品のある優雅な微笑みを見せていた冴子の、眉を寄せて堪えられない快感に悶える表情が慎也にはたまらない悦びだった。

 クリスマスイブは平日だったので、初めて過ごすクリスマスの夜を大切にしたかったふたりは、眠る時間を惜しんで抱き合ったまま朝まで繰り返し何度も何度も愛し合い、唇を重ねて舌を絡ませたまま一緒に絶頂に震えた時には、体中の血管が破裂するかのような快感でつながった場所が痙攣するのをお互いに感じていた。

 新しい年もこの幸せが続くようにふたりは心の底から願っていた。

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