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リクエストのラストワルツ
第7章 リクエストのラストワルツ

「さえこさん… … 離したくないです」
 
 少しでも多くの面積を冴子と肌を合わせようと抱きしめながら慎也が絞り出すような声で彼女の耳にささやきかける。

「離さないで…」

 泣く子をあやすようにして彼の頭を抱き抱えた冴子はそう応えながら、ほんとうに自分はそう思っているのだろうかと自問するのだった。

(今、彼を心から愛しているのは確かだ。でも…)

 全く予期しなかった本宮の手紙が大きく彼女の心を揺さぶっていた。 

 しかしそんな冴子の心の乱れをかき消すようないつにも増して濃厚な愛撫を受けた彼女は、無意識のうちに快楽の渦に巻き込まれていく。

 舌でかき分けられた花弁に隠れていた蕾を吸われ、その舌先で転がされるうちに、泉の奥深くに差し込まれた指で襞を搔き回されて、冴子は狂いそうな気持ち良さに容赦なく襲われた。

「おかしくなっちゃう… あああ… きもちいい! すごくきもちいい!」
 
 慎也の愛撫は一層激しくなっていく。

「んあっ… ああ、あああああ… い、いくいくいく、いくっ、いくっ!」

 2人の男の間で揺れる心とは別に体が感じる逃れようのない官能は冴子をとらえて離さなかった。

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