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好色なる一族3
第2章 宣告

「私には息子が二人いたのですが、二か月前に次男を亡くしました。先日四十九日も済ませました」
大五郎が話し始めると室内は重い空気に包まれた。妻芳子は涙ぐんだ。
「それはお気の毒なことで」
あやめは深々と頭を下げた。
「次男である芳雄はね、私にはなつかなくて、というより私を嫌っていました。金と暴力でことを運ぶヤクザな父親でしたから、仕方ないと言えば仕方ない。しかし、私は長男同様に芳雄を可愛がっていました。大学を出てこの家を出ていったきり、全くこの家に寄り付かなかったのですが、それでもいつか父と子として和解できる日が来ると信じておりました。その願いも無残に葬り去られました。まだ35歳という若さでね。武田組組長に殺されました」
あやめは動揺した。ぼたんもだ。
「それは本当なのですか?」
「はい、間違いありません。芳雄はね堅気だったにもかかわらず、おたくの組のお礼参りで殺されたんですよ」
「それで私とぼたんを殺すってことですか?」
「いえいえ、あなた方親子は堅気なんでね、殺したくはありません。それでもおたくの組長を殺せばその報復がまたくるでしょう。余計な血を流すことは私は望みません。ですからあなた方親子に体で罪を償ってもらってそれで手打ちとしたいと思っております。よろしいですか?」
あやめはぼたんを見た。逃げようと合図しているようだった。やはり組長の妾だ、度胸はある。
「ぼたん!」
あやめは立ち上がり、ぼたんの手を取った。しかし、障子の前を香と梅野が塞いだ。
「お願いです。私はどうなってもいいです。だから娘だけは見逃してください。お願いします」
あやめは手をつき懇願した。
「あなたが本当に言うとおりにするなら、見逃しましょう」
「言うとおりにします」
「わかりました。いいでしょう」
「ぼたん、さあ、行きなさい」
「お母さ~ん!」
ぼたんは泣いた。
「まだです。本当にあなたが言うとおりになるまで、娘さんを帰すわけにはいきません」
「わかりました」
大五郎が話し始めると室内は重い空気に包まれた。妻芳子は涙ぐんだ。
「それはお気の毒なことで」
あやめは深々と頭を下げた。
「次男である芳雄はね、私にはなつかなくて、というより私を嫌っていました。金と暴力でことを運ぶヤクザな父親でしたから、仕方ないと言えば仕方ない。しかし、私は長男同様に芳雄を可愛がっていました。大学を出てこの家を出ていったきり、全くこの家に寄り付かなかったのですが、それでもいつか父と子として和解できる日が来ると信じておりました。その願いも無残に葬り去られました。まだ35歳という若さでね。武田組組長に殺されました」
あやめは動揺した。ぼたんもだ。
「それは本当なのですか?」
「はい、間違いありません。芳雄はね堅気だったにもかかわらず、おたくの組のお礼参りで殺されたんですよ」
「それで私とぼたんを殺すってことですか?」
「いえいえ、あなた方親子は堅気なんでね、殺したくはありません。それでもおたくの組長を殺せばその報復がまたくるでしょう。余計な血を流すことは私は望みません。ですからあなた方親子に体で罪を償ってもらってそれで手打ちとしたいと思っております。よろしいですか?」
あやめはぼたんを見た。逃げようと合図しているようだった。やはり組長の妾だ、度胸はある。
「ぼたん!」
あやめは立ち上がり、ぼたんの手を取った。しかし、障子の前を香と梅野が塞いだ。
「お願いです。私はどうなってもいいです。だから娘だけは見逃してください。お願いします」
あやめは手をつき懇願した。
「あなたが本当に言うとおりにするなら、見逃しましょう」
「言うとおりにします」
「わかりました。いいでしょう」
「ぼたん、さあ、行きなさい」
「お母さ~ん!」
ぼたんは泣いた。
「まだです。本当にあなたが言うとおりになるまで、娘さんを帰すわけにはいきません」
「わかりました」

