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恋かるた
第8章 身も焦がれつつ -卯月-

(ほしい… わたしの中にほしい…)
お茶の水のホテルで愛されて震えた日、沢田は志織だけを何度も悦びの絶頂に導いてくれたが、ひとつに結ばれることはなかったのだった。
「かわいい…」
耳に口づけしながら沢田がささやく。
「もう… おばさんですから…」
「ぼくにとっては… いつまでも可愛いしおりちゃんだ…」
「そんなこと… ああぁ…」
耳に吹きかけられる沢田の吐息を感じて、志織はことばにできなかった。
膝裏に沢田の手が伸びたかと思うと、志織の体はそのまま彼にお姫様のように抱きかかえられていた。
「やめてやめて… 重いから…」
「重くなんかないよ」
微笑む沢田の首にしがみついたまま志織は赤ん坊をあやすように揺らされながらベッドへ運ばれた。
「あ、だめ… そんな…」
足を引こうとする志織を押さえつけて、沢田はストッキングのつま先をそっとくわえて指を甘く噛む。
めくれ上がったフレアスカートからショーツがのぞくのを押さえようとする志織の手を握った彼はつま先から足首、ふくらはぎへと唇を這わせていく。
そのストッキング越しの甘美な感触に志織は鳥肌が立った。
(こんな愛され方されたことない…)
片方の手でブラウスの上から胸を愛撫され、閉じようとしていた細い脚が開かれて、腿の内側を指と舌がゆっくりと這い上がってくる。
志織は、味わったことのない身悶えする感覚に叫びたくなる口を両手で覆うのが精いっぱいだった。
やがて両脚の付け根に辿り着いた沢田はその花園に頬ずりするように純白のショーツの上に顔を埋めた。
遅れて這ってきた指先が花弁に潜んでいた蕾の先を見つけると、めしべに尾を振るハチのように細かく震えた。
恥ずかしさと突き上げてくる快感に激しく襲われた志織は、たまらず声を上げていた。
「あああっ… わたし… おかしくなっちゃう…」
「しおり… おいで… おいで…」
紅潮した頬に沢田の頬が寄せられ耳にささやきかけられると同時に、蕾を震わせている振動が早く大きくなっていき、脚が痙攣したかのようにつま先まで伸びきった。
「あっ… あああ… あああああ… い… い、い、いくっ、いくっ!」
ひと月前、何度も達しながら口にすることができなかったその歓喜の単語を、志織は初めて沢田の腕の中で小さく叫んでいた。

