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百合の華は永遠に
第1章 百合の華は永遠に
「コーヒーで良い?」
こくんと頷いてカーペットに座り込む俊介を見てから、私はキッチンに向かった。
コーヒーを入れながら、考えをめぐらせた。
(多分、俊介のアノ様子じゃ見合いのこと聞いたのかも…お母さんかな…芽衣子とはつながりないし…)
煎れたコーヒーを持ってリビングに向かうと、カーペットの端をいじっていた手を止めて、俊介が顔を上げた。
「はい。」
「ありがと…」
前に机をはさんで向かい側に座ると、沈黙が流れる。
私はイラついて切り出した。
「見合いの話、きいたの?」
一瞬震えて私を見ると、小さくうなづいた。
「百合ちゃんのお母さんとたまたま商店街で会うて…
『あ、俊介君!!』
いきなり呼び止められ、俺はその声に振り返った。
『あ、お義母さん。買い物ですか?』
『ううん。私食事は作らないから。仕事の帰りよ~』
(百合ちゃん料理下手は母親譲りか。)
俺はそっくりな顔を前にして、ちょっと笑ってしまった。