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騎士団長は恋に溺れてはいけない──それでも君を抱きしめた夜
第1章 この想いは、ただの憧れ
燃えるような復讐心と、誰にも頼らず生きてきた者の覚悟。

年若いはずなのに、その眼差しは俺よりも老成していた。

「剣は……初めてではないな。」

「独学で少し。村の古い傭兵に教えてもらっていました。」

俺は彼女の名を記録に書き入れた。

気まぐれではない。

ただ、なぜだろう。

線の細い身体、風に揺れる髪。

そして、剣を握る手に宿る強い意志。

彼女の姿が、脳裏から離れなかった。

最後に、剣術試験の時。

その細い腕で、彼女は何人もの男を倒していった。

汗に濡れた髪が頬に張り付き、荒く息をつきながらも、構えに一切の迷いがない。

あれほど綺麗に足運びを決められる者は、男の中にも滅多にいない。

「っ……!」
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