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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第16章 抗えない誘い
普段、身体に手を触れるのとは、明らかに違った感覚だった。

濡れた肌と泡を含んだ柔らかさと弾力。

「ね……こっちにも泡をつけて?」

そう言われて手を取られた瞬間、どこに誘われるのか裕樹は理解した。

前回は触れられなかった場所へ、脱力した手が向かっていくのはスローモーションのようにゆっくりだった。

柔らかくて人肌よりも僅かに熱を帯びていて、水に濡れているわけではない──

柘榴に指を触れたような、その感触に裕樹は思わず息を呑む。

指先にまとわりついて、中指がヒダに包まれて逃げ場を失った。

「んっ…、あっ」

ナツは瞳を閉じて、噛み締めるような表情を浮かべていて、指先に微かな震えが伝わってくる。

裕樹は呼吸することを忘れ、ナツの反応に神経を集中させているようだった。

泡の感触とは異なる、過剰な柔らかさが、意思を持つようひとりでに動く。

まるで、ナツの形を確かめるように。

好奇心、あるいは悪戯心か──

(指入れたら、どんな反応するんだろ…)

指の関節を少しだけ内側に曲げると、いとも容易くナツの中に吸い込まれてしまう。

「あんっ…だめ…。」

その反応に気を取られた瞬間、ナツに短く遮られ、手首を取られる。

裕樹の腕を制するように、一度引き寄せた。

そのまま身体を預けるようにして、ナツは裕樹の腕に跨る。

濡れた肌の重みが腕にかかり、ナツはその体勢のまま、肘から手首、指先へと腰を滑らせていった。

洗うだけの動作の中に、確かな誘惑が混じっている。

身体を洗われる側のはずなのに──

ナツは裕樹の身体を使って愉しんでいるように見えて、行き来する腰遣いに、どちらが触れているのか境界がなくなっていく。

裕樹の腕は、柔らかさに包まれながら、好き勝手に行き来され、どちらが触れているのかが曖昧になっていった。

ひととおり腕をなぞり終えると、ナツはゆっくりと身体を離す。
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