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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第16章 抗えない誘い
湿った指先は、ゆっくりと身体の真ん中へと移っていく。

それは、触れるというより、そこに在ることを確かめるような動きだった。

(これって…)

裕樹は、伸ばしかけた手を引っ込める。

所在なさそうな右手が、ナツの身体のラインをなぞるように乳肉に触れた。

弧を描くように何度も撫でるたび、腰が小さく震えて、浮き上がる。

エンジンが温まるように、ナツの瞳にも熱が宿っていく。

裕樹を見つめる眼差しの中で、眉を寄せ、快楽に歪む表情が次第に色濃くなっていった。

「はっ……ぁ……」

裕樹はその様子をただ立ち尽くして眺めるだけなのに、息が詰まる。 

この部屋の酸素が薄くなったかのような緊張感。

赤裸々にその姿を晒すナツを前に、胸の奥が押しつぶされるような感覚と、目を逸らせない欲望がないまぜになる。

「ナツ……」

ジリジリと視線を押し除けるように、裕樹は一歩、前へ出た。

快楽に歪むナツの表情に、いつもの笑みが混ざり込む。

「裕樹に……んっ……私の身体を……あげる…っ。好きなことして……あんっ…」

喘ぎに途切れ、舌足らずになった声。

視界いっぱいに、仰向けになったナツの身体が広がる。

乳肉は支えを失い、形を保つことなく崩れていた。

その無防備さに目を逸らせず、下腹部に再び熱が帯びていくのを、裕樹ははっきりと感じていた。

裕樹はナツの顔の前で、無意識に肉棒を誇示するように前へ突き出す。

それに応えるように、ナツの右腕が腰へと伸びてきた。

誘う仕草に引き寄せられて、嚢袋に鼻筋が当たる。

「舐めて」と言葉にするよりも先に、半ば押し付けるように先端がナツの唇に触れる。

それはいとも容易くナツの口の中へと運ばれ、裕樹の身体に電撃が走り、僅かにのけぞる。

(ああ……こんな"モノ"みたいに…。)

そこに、愛と呼べるものは見当たらない。

肉人形に欲望をぶつけているだけのようなこの状況は、本来の自分の美学からは、明らかに逸脱している。
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