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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第16章 抗えない誘い
ナツの手が、離れてしまった裕樹の腰に触れる。

「たくさん付けたかったのね…。見えるところだったら…危なかった…。」

火照りを隠しきれないまま、ナツはどこか楽しそうに視線を絡める。

ナツと目が合って、裕樹は現実に引き戻された。

少し視線を落とすと、ベッドに身を預けたナツが、胸元を無防備に晒している。

気がつけば、その白い肌には紅斑がいくつも散らばっていた。

太ももに付けられたものと見比べると、形の揃わない痕が、いくつも刻まれている。

「あんまり上手にできなかった…」

そう呟いた裕樹の視線の先で、ナツは身体を起こし、自身の乳房を持ち上げて付けられた痣を確かめていた。

紅斑を指先でなぞり、無言で物思いに耽っているようだった。

その沈黙が、裕樹の胸を静かに締め付ける。

「…あぁ」

ナツは小さく息を吐き、満足げに視線だけで裕樹を捉えたまま口元を緩めた。

「こんなに赤くなってる。裕樹って…見かけによらず、結構大胆なのね。」

からかうようでいて、拒む気配はない。

むしろ、その痣を"受け取った"目をしていた。

その表情を見て、裕樹はようやく胸の奥に残っていた感情の正体に気づく。

それは、達成感に似た、歪な幸福だった。

ナツはそのまま視線を逸らさず、ベッドの端へと身体を寄せる。

シーツに手をつき、ほんの少し顎を上げて、静かに指先で中央を示した。

「こっちにきて…。」

命令ではないが、ここから引き返すという選択肢も、残されていなかった。

シーツの皺が、先ほどまでナツがいたことを記憶しているようで、そこへ重なるように裕樹も仰向けに身を預ける。

まだ残るナツの体温が、シーツ越しにじんわりと伝わってきて、そこに身体を沈めるだけで、嫌でも身体が反応してしまう。

ナツは視線を逸らさないまま、ゆっくりと裕樹の上へと重なってくる。

一つになる距離まで身体を寄せて、肉棒に手が触れ、そのまま受け入れそうになった瞬間──

裕樹の動きが止まる。
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