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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第17章 背徳のドライブ
その色香を振り切るようにして、裕樹は無意識に距離を取った。

気持ちを切り替えるように、先にペットボトルが並ぶ棚の前へ向かい、何を選ぶでもなくラベルを眺める。

ほどなくして、隣に人の気配がした。

横目で見ると、ナツが最初からそこにいるかのように立っている。

「どれにする?」

肩が触れそうな距離でそう言われて、裕樹は思わず息を詰めた。

緑茶のペットボトルを手に取って、ナツと並んでレジの方へと歩き出す。

──そういえば。

ふと今日の目的が頭の中によぎると、買わなければならない物の存在に裕樹は気付く。

一瞬だけ視線を泳がせて、日用品が並ぶ棚へと足を向けた。

白や銀の小箱が整然と並んでいて、ふと冷静になる。

(恥ずかしいことじゃないんだ…これは…)

そう自分に言い聞かせて、一つ手に取る。

レジへと向かうと、すでに並んでいたナツと視線があった。

ほんの一瞬、ナツの口元が緩むと「お・い・で」と、口の動きだけで伝えるように手招きをする。

ナツの隣に行くと、裕樹の手にある商品をチラリと見て、すぐに視線を戻す。

「一緒に会計するから、こっちに出して。」

低い声で、事なげにナツは言った。

「え……」

一瞬だけ躊躇うが、ナツはもうこちらを向いていなかった。

断る余地は、最初から用意されていない。

決済方法をスマートフォンで選んでいるのか、値段も、何を買うのかも興味がないように見えた。

バーコードを淡々と読み取る、無機質なピッという音。

対応しているのは若い男の店員のようだった。

顔を上げなくても、その視線がどこを向いているのかが、なんとなく分かってしまう。

ナツの胸元に集まる男たちの視線。

その輪の中に、裕樹も紛れ込んでいた。

(やっぱ、見ちゃうよな…俺もそうだけど…)

男の欲望の仲間意識が、ふと頭をよぎって、なんとも言えない気分になる。

会計が終わると、裕樹は反射的に袋を受け取った。

コンビニを後にして、路上に停めてあるえんじ色の車の前で、ドアのロックがピッと音を立てて光る。

「これ、私の車。」

ナツはそう言って、運転席に乗り込んだ。

裕樹もそれに続いて、助手席のドアを開けて乗り込む。
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