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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第17章 背徳のドライブ
「まだインタビューは続いてるんでしょう?」

ハンドルに添えられた右手の指先が、触れられない裕樹の肌をなぞるように、ゆっくりとレザーを撫でていた。

ナツがSなのか、Mなのか──

質問の続きを言葉にしようとして、口をつぐむ。

さっきまで気になっていたことのはずなのに、裕樹にはそれよりも別のことが引っかかっていた。

「あ、うん……。ナツはさ──」

言葉の続きを探すふりをしながら、視線だけが無意識にサイドブレーキの脇のスマートフォンの方へ逸れる。

「職場でもさっきみたいにエロオーラ全開なの?」

そういうとナツは、あははと笑う。

「どうだろうね?今は事務所に基本的に1人だから、全開でも誰も困らないかも。」

「今は…って、昔は困らせてたの?」

ナツは手の甲で口元を隠すように笑った。

「若い時は…そうかもね。」

「若い頃のナツって…どんな人?」

過去をなぞるように、裕樹は服の中へ手を忍ばせた。

ナツの身体は、いつもより火照っている気がして、温かかった。

「……っ。ツアーコンダクターの仕事をしてた。15年くらいかな。色んな国に行ったよ。」

「15年も?じゃあ……色んな国で、ああやって見られてたんだ?」

胸のざわつきを押し殺すように、裕樹は質問を重ねた。

「自分で言うのもなんだけど…モテてたよ。」

「色んな人がいた。プリンセス扱いしてくれるイギリス人や、情熱的なイタリア人とか……。」

イタリア人──

その一言で、一人でに像が結ばれる。

彫りの深い顔、薔薇のような紅い情熱、濃い体毛すら色気に変えてしまうような男。

顔も名前も知らないラテン・ラヴァーが、ナツの身体を抱き寄せる光景が脳裏に浮かぶ。

「日本人とは違う?」

「違うね。遠慮がなくて…パッションが強くて…でも余裕もある。」

比べられてもいないのに、勝手に比べてしまっている焦燥感──

「やっぱり向こうの人は、あそこも大きいの?」

「大きい人は多いね。日本と違って細長いって感じかな…。」

「でも──」

裕樹に触れている指先が、確かめるようにゆっくりと動く。

「こんなに反ってて硬いのは…なかなかいなかったかも。」

勝っているはずなのに──

嫉妬に似つかない興奮が、指先の節度を奪う。

「あんっ……触り方……っ、熱っぽくてやらしっ……。」
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