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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第17章 背徳のドライブ
止めてくれると思っていた。

ナツの答えには、一切の迷いはない。

裕樹の頭の中に浮かぶ、先ほどの対向車。

あのフロントガラスの向こう側の、運転席と助手席に座る影。

どこまで見えていたのか。

どこまで見られていたのか。

それを逆算しようにも、その境目は曖昧で──

やがて考えることをやめて、裕樹はシートに深くもたれかかった。

指先が、膝の上で一度止まる。

呼吸を整えるふりをして、ベルトの金具に手を触れた。

金属は背筋を伝う背徳感のように冷たく、やけに現実味を帯びる。

ベルトを外す音や衣擦れが、車内にこぼれていく。

ナツが気付いているのかどうか、それすら分からない。

それ以上はやらなくて"いいよ"、と止めてくるのか。

そのまま脱いでも"いいよ"、なのか。

同じ許しのはずなのに、意味だけが違って聞こえる。

ズボンが足元に落ちても、ナツの反応はなかった。

裕樹はそのまま、自ら逃げ場を断つように
ボクサーブリーフに手をかけた。

腰を浮かせて、ゆっくりと布を下ろしていく。

下半身から一切の遮るものが消え、車内の冷房の空気が熱を帯びた肌に直接まとわりつく。

シートの生地の感触が、露出した太腿へ過敏に伝わってくる。

感覚がむず痒く、裕樹は身体が落ち着く位置が定まらず、身体を捻らせ、膝を立てると妙に落ち着いた。

しばらく黙っていたナツが、裕樹に誘われるようにして、太腿に指先だけ触れる。

「落ち着かないの…?」

立てた膝の内側に、ナツの手が滑り込む。

裕樹の溜まり込んでいた熱ごと、すべて包み込んでしまった。

「あ……」

硬さも、脈打つ感覚も、その下に湛えられた柔らかな袋の重みさえも、ナツは掌で量るように掬い上げる。

脚を閉じれば、いつでも遮ることはできた。

それでも裕樹はその選択をしない。

重い脚はそのまま、シートの上でさらに外へと開いていく。

「あは。んっ……すごく硬くて熱い。」

裕樹もまた、ナツの服の中へと手を伸ばす。

「ナツの……せいだ。パトカーとか来たらどうすんの……?」

二人の息遣いと肌が擦れる音が車内を満たしていく。

付けっぱなしのはずのラジオの音は、遠くへと押しやられていった。
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