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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第17章 背徳のドライブ
深まる宵の下道に、走る車はまばらだった。

それでも前方からヘッドライトが迫るたび、裕樹が声を潜めて何かを言いかけるのを、ナツは楽しそうに受け流す。

言葉だけが交わされ、手の動きは止まらない。

車は一定の速度で走り続けながら、ときおり白線を掠める。

やがて、果てしなく続きそうな国道から、枝分かれした細い脇道へと車は入っていく。

道がアスファルトから砂利に変わり、タイヤが小石を弾きながら車体を小刻みに揺らす。

街灯の灯りは背後に置き去りにされ、背の高い樹木が道に影を落としていた。

程なくして林道を抜ける。

天窓のように開けた夜空の下で、白い戸建てがぽつりと佇んでいた。

周囲は木の柵でゆるく囲まれ、その先で道は途切れている。

白線や段差もない敷地に、ナツは車を寄せた。

「着いたよ。」

そう言ってエンジンを切ると、流れていたラジオとエンジン音がぴたりと止む。

国道からさほど離れていないはずなのに、夏の虫の音だけが、うるさく聞こえるほど静かだった。

玄関前の照明が、揺れる蝋燭のようにぼんやりと白い外壁を照らしている。

「ありがとう、ナツ。運転お疲れ様。」

最後まで運転を任せきりにしてしまったな、と裕樹は胸の奥で思いながら、リリースボタンを押した。

シートベルトが音を立てて巻き戻っていく。

その軌道を目で追っていたナツの視線が、最後に裕樹の目に行き着いた。

どちらからともなく、吸い寄せられるように身体が近付いて、言葉も要らないまま、自然と唇が重なった。

何度もぶつけ合うような口付けの刹那──

伏せられた睫毛の陰から、ナツの視線が裕樹の鎖骨へ落ちる。

焦がすような熱を孕んで、胸元や腹部へと、ゆっくり移っていく。

「ああ……本当に肌がスベスベで綺麗。」

裕樹の肌の張りと温度を確かめるように、ゆっくりと指の腹で太腿をなぞった。

「私ね…若い時にヌードを撮ってみないか?って言われたことがあったの。」
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