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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第4章 密やかな溢れ
「……どうしたの?」

空気感が変わったことに疑問を持った葵は問いかける。

裕樹は柔らかい笑みを浮かべて、ううんと横に首を振る。

ゆっくりと立ち上がり、椅子を片手に持ち上げ、ゆっくりと葵の隣へと移動する。

クラスで2人が隣同士の席である距離より近くに椅子を置き、裕樹はゆっくりと腰掛ける。

太腿は僅かに触れ合うことはないが、お互いの体温を感じ取れるくらいには近い距離感だった。

葵は裕樹の熱っぽい視線に晒されて、目を背けたくなる寸前で裕樹は口を開く。

「最初はすげーエッチだなって思ってたんだけどさ、なんか綺麗だなって思って。葵ちゃんは顔も可愛いし、おっぱいはすごく大きいのにウエストは細くて肌も綺麗だ。黒髪もすごくツヤツヤで、お人形みたい…。いや…お人形というより、美術館の彫刻みたいな。」

葵は裕樹の言葉にほんの一瞬、瞳を見開きかけて止まり——完全には開ききらず、感情を飲み込むように軽く伏せられる。

睫毛が微かに震え、頬に走る紅潮が葵の戸惑いを静かに語っていた。

唇は言葉にならない言葉を留めるように、軽く結ばれている。

アーモンド型の瞳は揺れて、どんな言葉を紡ごうか迷っている様子だった。

「初めて言われた…そんなこと」

葵はそう言って、そよ風のように微笑んだ。
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