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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第5章 滲む境界
「カバン、持ってきてくれてありがとう」

葵はベッドの上で仰向けで寝転びながら右手を挙げた。

顔色が悪い様子もなく、見た目はどこも悪くなさそうに見える。

「大丈夫?どっか辛いの?」

裕樹は葵のカバンをベッドの横に置いて、後方から椅子を取り出してそれに腰掛けた。

「今は大丈夫。たまーに起きる貧血。それで寝てた。」

「そうなんだ、今は平気なんだね。よかった。」

保健室は美術部の備品室とは違った、整頓されていて清潔な空間。

部屋は適度な温度で保たれていて、保健室には葵と裕樹以外は誰もいない。

葵をいつも観察する備品室は、雑多でマネキンが不規則に並べられてきて、2人を外部から隠しているが、保健室はこの白い厚手のカーテンだけなのが対照的だった。

葵は背を丸くして横になっていて、座っている時よりも体の輪郭は少し曖昧になっているように見える。

(葵ちゃんを観察するのには保健室もピッタリだな…)

そんなふうに裕樹が思っているのを、葵は少し感じ取ったかのように口を開く。

「先生は6時間目の終わりまで、戻ってこないみたい。それまでにもう良ければ帰っていいって言われてて、もう帰ろうかと思ってるんだけど、どうする?」

「どうする?って俺に聞く?」

「そういう気分じゃないなら、帰るよ。むっつりの裕樹くん。」
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