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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第5章 滲む境界
裕樹の眼前に聳え立つIカップの双丘。

あと数センチ顔を近づければ、その柔肌に埋もれる距離感だった。

「デカっ…」

裕樹は思わず心の声が漏れる。

その質量は服の上からでもよく感じ取ることができて、今にも溢れ出しそうな大量の水をダムが堰き止めているような感覚だった。

脱がせたら勢いよく飛び出してきて、あっという間に呑まれてしまいそうだ。

「すっごい重そうだね。

「うん、重い。ブラも苦しい。」

裕樹が目線だけ上を向けると、葵と目が合った。

「苦しいなら…外しちゃえば?」

葵の瞳は驚いたかのように僅かに大きくなったが、またいつもの表情に戻る。

(またあの時と同じ表情だ…)

裕樹から決して視線を逸らさない葵は、この間の競泳水着のストラップを外した時の面影があった。

ゆっくりと上半身を起こし、熱を帯びた視線で裕樹捉えて離さないまま、葵はニットベストとワイシャツの裾を少しまくる。

背中に手を回し、ホックはカウントダウンのように外れていく。

最後のホックがプツッと外れた時、ニットベストが大きく動いた。

締め付けから解放されたのか、目を瞑ってゆっくりと息を吐く。
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