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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第7章 可惜夜に焦がれ墜つ【序】
数日後の23時。

裕樹は待ち合わせ場所に葵が来るのを待っていた。

街灯の下で、スマホを何度も確認しながら、心臓の音と蝉の声がうるさく響いていた。

ココを見つけ出したあの日の夜の出来事の続き。

自身に出来ることがあれば、何かお礼をさせて欲しい。

どんなことでも良い、そういうことであれば裕樹は一つの願いを口にする。

「葵ちゃんのおっぱいを直接触っているところをこの間の水着の時みたいに動画で収めたい。」

その言葉に、葵は肩をすくめて沈黙した。

「撮影するスマホは葵ちゃんのスマホか俺のスマホ。それは葵ちゃんに任せる。」

「少し考えさせて欲しい…。何でもいいって言ったのにごめん。」

去り際に、3日後の23時にこの場所で待っていると裕樹は口にし、葵はその場を後にしたのだった。

それから今日まで裕樹は何度も後悔しかけていた。

しかし、既に賽は投げられた。

スマホには何の通知もない。それでも裕樹はあの夜の沈黙の続きを、知りたかった。

葵は自らの体を許すかどうか、今夜選択しなければならない。

それから10分待っても葵は来なかった。

30分まで待ってこなければ電話してみて、それでもダメなら帰ろう…。

裕樹がスマホから目を離すと、遠くの歩道に白い影が揺れた。

風にたなびくワンピースが、夜の静寂に溶け込むようにゆっくりと近づいてくる。

裕樹は息を呑んだ。

その歩みは迷いなく、まっすぐこちらへ向かっていた。 心臓の鼓動が、蝉の声よりも大きく響いていた。

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