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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第7章 可惜夜に焦がれ墜つ【序】
葵の足取りは軽くなく、それでもゆっくりと確実に裕樹に近づいていた。

視線は地面に向けられているが、時折ぶつかる。

その表情は、硬いとも諦めともつかない影を宿している。

葵は裕樹の前で立ち止まり、そっと息を吐いた。

「遅くなってごめん。」

ポツリとそう呟いた葵に、大丈夫、と裕樹は一言返す。

葵の手はワンピースの裾をぎゅっと握っている。

2人の間に言葉はなく、蝉の音と遠くの車の音が沈黙を埋めるように響いていた。

「行こっか。」

裕樹は葵にそう言って、2人はトボトボと歩き始める。

裕樹は何やら荷物が多く、コンビニの袋にペットポトルの水、大きいリュックサック、折り畳みのキャンプチェアを肩からかけている。

まるで何かを始める準備のようだった。

どこに行くかを伝えないまま、葵の歩幅に裕樹は合わせて歩く。

時折、何かを言おうと口を開くが、それは言葉にならず閉じる。

葵の肩は浅く上下する。息を整えているのか、感情の行き場に困っているのか、それは分からない。

2人はしばらく歩いていると、静まりかえった公園の中に佇む、プレーパークの小屋が見えてくる。

小屋の中は灯りがなく、木々の影が壁に揺れていた。

日中は子供達の笑い声に満ちているはずのその場所が、今は別の世界のように静かで、近寄りがたい雰囲気が漂っていた。
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