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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第7章 可惜夜に焦がれ墜つ【序】
「あーあ…。本当に触っちゃったね。」

その声は、驚きよりもどこか諦めに近かった。

それでも葵は身を引かず、ゆっくりと振り向いて、肩越しに裕樹を見つめる。

何かを確かめるような視線がお互いぶつかって、沈黙が訪れた。

裕樹は、葵の視線を受け止めたまま、何も言わずに手を動かした。

ゆっくりと、包み込むようにして、両手で下からしっかりと支える。

柔らかな膨らみは手のひらからこぼれ落ちそうで、じんわりと重さが伝わる。

葵は裕樹の手を受け入れるように目を伏せて、肩越しの視線を外し、静かに顔を正面へと戻した。

葵の提案から始まった、観察の日々。

触れることなく、ただ目で追い続けた時間は、今、両手にその重みを伝えている。

裕樹は手のひらの感触を確かめながら、そっと葵の顔を覗き込んだ。

肩越しに見える横顔は、目を伏せたままで、息を小さく吐いている。

逃げもせず、拒みもせず、ただそこにいた。

その沈黙に、裕樹はそっと指先を動かした。

揉む動作の合間に、そっと前開きのワンピースのボタンに触れる。

一つ目を外すと、布が僅かに緩んで胸の付け根の部分が露わになる。

ここから先は、水着のストラップを外した時よりも肌が露出する━━━

それを想像すると、裕樹の喉がひくりと鳴った。

欲望と緊張が、静かに体温を上げていく。
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