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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第9章 可惜夜に焦がれ墜つ【急】
ゆっくりと床に膝をついて、葵の太腿に触れながら押し広げるように脚を開く。

なるべくその表情を見ておきたい、いや視線を外すことができない気がして─────

葵の潤む瞳から目をなるべく離さないように、交わりの儀式は進んでいく。

裕樹が近づいてくるのを葵は無言で見つめていた。

その視線が数回ほど下へと泳いだのを裕樹は気付いていなかった。

太腿が密着し合って、硬い茎と濡れた果実が熱を感じとれるほどの距離になり、二人の呼吸を止めた。

(…あ、ゴムしなきゃ…)

焦がれ堕ちた理性の残滓は、裕樹を少しだけ現実に引き戻す。

脱ぎ捨てたボトムに手を伸ばし、ポケットの中に忍ばせていた正方形の銀の包装を取り出す。

指先が揺れながら、ゆっくりと端から裂いていく。

袋から取り出された薄い膜をカリに被せる。

伸ばそうとするが手もとが滑り、形は崩れてしまい、思わず息を呑む。

葵の顔を見ると、眉を少し寄せて、指先が唇に触れていた。

その心境は窺い知れないが、視線は見透かしているような柔らかさがあった。

(家で練習してきたのにな…)

葵の視線で自分の顔が熱っていくのを感じる。

形の崩れてしまったコンドームを横に退けて、新しい包装を取り出した。

表側が銀色で自分側が黒の包装になっていた事を思い出し、黒を自分側に向けて封を切った。

そのまま流れるように再びカリに被せる。

輪っかがカサを通り抜けて、浮き彫りの血管の形をなぞるように0.02mmの帳が下ろされていく。

今度こそ───そう思い、体勢を整えようとするが、角度が合わず裕樹は動きを止めた。

タオルの上に置いたはずのクッションが一つ、横にずれていることに気付く。

そこにある理由は、葵の身体が何度も快楽を浴び続けてねじれ、滑るように動いてしまったからなのだろう。

裕樹はそのクッションをそっと拾い上げ、僅かに湿ったタオルの皺を指先で整えながら葵の腰に手を触れる。

「葵ちゃん、少しだけ腰を上げてもらえる?」

そう言うと、葵の腰が僅かに浮いて、その隙間にクッションを挟み込む。

葵の力が抜けて、クッションに腰が柔らかく沈み込んで行く。

繊細なチューニングが終わり、二人の軌道は一つに重なった。

まるで、ノイズが消えたラジオのチャンネルのように。
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