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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第9章 可惜夜に焦がれ墜つ【急】
裕樹の先端が、葵の泥濘みの表面をなぞるようにして、快楽の入り口を探していた。

何度か擦るように押し付けていると、熱い沼の中にカリが僅かに沈みこんで、裕樹の中で稲妻が走る。

絶対ここだ…────初めてにも関わらず、本能が正解を導き出した。

指で抑える必要がないほど、硬さを極めていた欲望で押し広げるようにゆっくりと葵の奥へと入っていく。

「っあ、…あぁ゛…うぅ…」

葵の眉が寄り、潤んだ瞳が焦点を失った。

自分の肉体を抱きしめるように腕を寄せながら、震える唇に触れている。

肘が胸元に沈み込んで、乳肉が形を変えるほど力が入っているのを見て、裕樹は息が詰まりそうになりながら、確実に葵の奥へと入り込んでいく。

その姿は声を抑えようとする葵の意志を、容易く裏切るほどの快楽に肉体が支配されているように見えた。

押し広げて奥に進んでも、柔らかい肉壁はその穴を塞ごうとするように裕樹の玉茎をきつく締め付ける。

「あッ…」

ビリビリと痺れる快感が体の底から湧き上がってくるようで、裕樹も思わず声を漏らす。

原始的な本能は、避妊していることなどお構いなしに、奥で果てたい衝動を突き動かす。

裕樹は、自身の欲望の形が葵の奥へと沈み込んでいく様子を、目を逸らすことなく見届けた。

根元まで余すことなく呑み込むように吸い寄せられ、2つの身体は境目を失う。

肌と肌が密着して、熱が混ざり合う刹那────裕樹は呼吸の仕方さえも忘れてしまった。
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