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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第9章 可惜夜に焦がれ墜つ【急】
葵の快楽に寄り添うことで、裕樹は″自分も満たされている″と信じていた。

だが、葵から本物の快楽を享受した今、裕樹は初めて″与えられる悦び″に圧倒された。

(全然腰とか振れない…てか、動いたら絶対我慢できない…)

獣のように一心不乱に腰を振る自分の姿を想像していたが、触れているだけで絶頂を迎えそうな自分に、僅かに無力さを感じていた。

裕樹は快楽に耐えるように、ゆっくりと葵の柔らかい肉房に顔を埋める。

葵の熱にほだされた浅い呼吸と、細かい震えが、密着した柔らかい肌からじわりと伝わってくる。

永遠にこの時間が続けばいい────そう願いながら、爆発しそうなエネルギーを抑え込むように下半身に力が入る。

汗ばんだ背中に腕を回して、ぎゅっと抱き締めると、葵の身体は沈み込むように柔らかく潰れていく。

よく″女性の身体は柔らかい″と言われているが、これほどのものとは思っていなかった。

抱きしめ、力を入れるほど、身体はどんどん葵の中へと沈み込んでいく。

全身の骨を折ってしまうほどの危うさが、裕樹の腕に宿っていた。

まるで、快楽を受け止められるために作られた器としか思えないほど、裕樹の全てを呑み込み、包み込んでいく。

「んん……、 は…ぁ…」

裕樹の腕の中で、葵は身動き一つ取れず、苦しげな吐息を漏らしていた。

だが、肌から伝わる熱や、震える身体は、逃げ場のない快楽に身を委ねているようだった。
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