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いまやめないで このままでいて
第3章  第3話  あなた色を決して忘れない

 池原が連れて行ってくれたのは、山手の丘の上にあるレストランで、クリスマス前ともあってカップルで賑わっていたが、平日だったので予約なしであったにもかかわらずなんとか席につくことができた。

 彼は、その日のために唯花がかけた労をねぎらい、シャンパンで乾杯をした。

 唯花がシャンパンを飲むのは転職前に、海外赴任が決まったことで別れた前の彼と一緒に祝った去年の誕生日以来だった。

 そして、食事のあと少しだけ酔った唯花を池原は港の見える丘公園へ連れて行ってくれたのである。

 透きとおった冬空に、街灯りに負けずに輝くいくつかの星が瞬く中、冷えて人の気配のないベンチで唯花は池原に初めて抱かれ、キスをされた。

 体の震えが寒さのせいなのか、憧れを寄せていた池原に抱きしめられたことからなのかその時ははっきりとわからなかったが、それからの唯花の毎日はそれまでにも増してときめきが続く日々だった。

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