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いまやめないで このままでいて
第3章  第3話  あなた色を決して忘れない

「疲れただろ? 何か食べに行こうか」

 とりあえずひと段落したと考えた潤一が腕時計を見ながら立ち上がって唯花を誘った。もう午後2時をとっくに過ぎていたのである。

「うん」

 嬉しそうに唯花が返事をした。

 半年前には、「はい」としか言えなかった彼に対して、もうあまり敬語を使う仲ではなくなっていた。

 アパートのある門前仲町はまだ都心の一画はいえ、ビジネス街のはずれにはなるので土曜日のその時間ともなると開いているのはチェーン店かファーストフードの店しかなかった。

「おなかすいてたでしょ、ごめんなさい」

「そうだね、のども乾いたしビールがほしいくらいだね」

 それぞれに異なったパスタにフォークを差しながら、氷の入ったグラスの水を潤一は一気に空けると、笑った。

 そんなふたりはどこから見ても仲睦まじいほほえましく落ち着いた普通のカップルにしか映らなかった。

 名古屋が実家なため、相模原の叔母の家から日本橋にある会社まで2時間近くをかけて通っていた唯花の負担を心配して、残業が多くなってきた頃に会社へ単身者用の住居申請を通してくれたのも潤一であることを彼女はあとから知った。

 通勤交通費のことを考えると、短期だし家賃の半額補助は会社の負担もある程度相殺されることを潤一はわかっていたので、上司も認めてくれたのである。

 残業が遅い時間になっても門前仲町なら日本橋からすぐのうえ、彼の自宅がある千葉の習志野市からもそう遠くはなかった。

 家には展示会設営のための出勤だと偽って、土曜日に唯花の入居の手伝いに潤一は出て来ていたのである。

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