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いまやめないで このままでいて
第4章  第4話  夜汽車に揺られて濡れて

「すっごいきれい!」

 三ノ宮の駅で荷物を預けて、異国感の漂う街中を手をつないで歩きながら山手にある諏訪山公園に連れてこられた亜矢は、夕暮れの迫る中で目の前に広がる灯りの点り始めた街並みと無数の船が浮かぶ海を見て、感嘆の声を上げた。

「やっぱり神戸って素敵なのね」

「でしょ?」

「うれしいわ。ありがとう。連れてきてくれて」

 自慢げにしている純一に、不意打ちのようにして亜矢がキスをすると、一瞬周りを確かめるようにして、彼は亜矢を正面から抱いて長いキスを返した。



 ハーバーランドは神戸港の前に広がるよく知られた観光地である。

 ふたりは諏訪山公園から瀟洒な街を再び歩いて下り、きらびやかな中にも落ち着きを漂わせている海辺の一画を目移りしながらのんびりと手をつないで歩いていた。

 陽が落ちたばかりのそのあたりには気持ちの良い海風が吹き、金曜日ということもあって人の数も多かったが、東京の都心の喧騒とは全く違う雰囲気に亜矢は純一の手を握る手に思わず力が入った。

 そしていつの間にか予約をしてくれていたアジアンレストランに入って、海側の席に座った時にはこのまま東京へ帰りたくないなと思ったのである。

「まだ時間あるし…」

 そう言って純一が亜矢を連れて行ったのはホテルオークラのラウンジだった。

「ちょっと歩き疲れたね」

「わたしは大丈夫よ。もっと歩きたいくらい」

 ずいぶんと歩き回っていたはずだが、実際に亜矢は疲れを全く感じていなかった。

 ストローに口を運びながら、朝までずっと彼とこうしていたいと本気で願っていた。

「喜んでくれて良かった」

 純一が穏やかな眼をしながら小さくウィンクしたので、亜矢は思わずレモンティーを吹き出しそうになって、少しだけむせんだ。

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