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いまやめないで このままでいて
第6章  第6話  たまらないその指の戯れ

 美郷が自分の恥ずかしい性癖に気づいたのは中学3年生の頃だった。

 その日、忘れ物を取りに戻った塾は既に鍵が閉められていて、インターホンを何度押しても反応はなかった。

 忘れ物自体はそれほど重大なものではなかったが、その時は焦る気持ちと戸建ての塾のまわりの暗がりの不安とで、急にトイレに行きたくなったのだった。

 家まで我慢できない気持ちにうろたえた彼女は、思いついたように塾の建物の小さな裏庭へ向かった。

 ひな壇状に開発された丘陵地の住宅地に建つ塾の敷地は隣家の2階の屋根の高さ近くにあり、南に面した芝生の生える狭い庭にはいくつかの樹木が植えられていて、授業の合間にはちょっとした休憩もできるようになっていたのである。

 月明かりを頼りに建物を回り込んだ彼女は、隣家とのフェンスそばの植え込みのわきであたりを確かめると制服のスカートで隠しながら下着を下ろしてしゃがんだ。

 勢いよく地面にしみこんでいく小水の音に星の瞬きを見上げながらほっとしているうち、芝生の先でくすぐられる感触が淫靡に感じてたまらなかったのがその始まりだった。

 それからというもの、ときどきわざとトイレを我慢して閉所後の塾の裏庭で快感を味わうのが秘かな愉しみになり、特に寒くなってからはぞくぞくするほど気持ちがよかったのだが、まだ自慰を覚えたわけではなかったのである。



 部活で忙しく、そんなことを忘れていた高校を出た彼女は、専門学校に入ってひとり暮らしをするようになってから、誰にも気づかれることのないバスルームで自分を焦らしながら絶頂に達して放尿することへ味わう快感をエスカレートさせた。

 ショーツを穿いたまましゃがんで、やわらかいフェイスブラシで花芯をこすり続けるとこらえきれない気持ち良さが押し寄せたその瞬間、中腰になって一気に漏らすと同時にイクという行為はひとり暮らしでないとできないことだった。

 他人には言えないはしたないイキ方とともに、下着をつけたまま漏してしまうという“いけない”ことを、強いられながら虐められているような背徳感がたまらなかったのである。

 そしてそれは、新しい下着を手にしたとき特にその欲求が高まるということとなり、今の仕事を選んだ他人には言えない大きなきっかけだった。

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