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いまやめないで このままでいて
第6章  第6話  たまらないその指の戯れ

 美郷には学生時代と社会人になってからとで2人の男と付き合いがあった。

 体の関係になるのはどちらも早かったが、2人とも自分よがりな行為をするばかりで、彼女自身は満たされることもなく、むしろ苦痛さえ感じるほどだったから別れも早かった。

 男ってみんなこうなのだろうか、と思うようになってからは自分を焦らして快感を得ているほうがはるかに気持ちよく、男と疎遠になっていた折に仕事上の接点から交際を申し込まれたのが村川浩輔だったが、彼は33歳という美郷より8つも歳上のせいか過去の2人とは明らかに落ち着きが違っていた。

 

 そして5回目の打合せのあと村川に食事を誘われた美郷は、ワインに少し酔った勢いもあって初めて彼に抱かれることとなった。

「一目ぼれだったけど間違ってなかったです」

 彼は二人掛けのラブソファでバスローブにくるまれた美郷の肩を抱きながら、そう言った。

「まだわからないですよ、わたし」

「いや、たぶん大丈夫」

 村川は自信ありげな口調で美郷の顔を見て笑った。

「コーヒー冷めちゃうよ…」

 ペーパードリップで淹れたコーヒーを口に運びながら、先を急がないそのおおらかな穏やかさが美郷には新鮮だった。



 重ねられた唇を割って差し入れられた舌からコーヒーの香りが伝わってくる。
 
 上唇の内側をそっと舐められていたかと思ううち、下唇がやわらかく甘噛みされて美郷の喉からはくぐもった呻き声が洩れた。

 長い間ふたりは唇を重ね合わせていたが、それも彼女にとっては初めての経験だった。

 薄手のバスローブの上から小ぶりの胸が包まれた。

 先端の突起が触れる布地の感触に微妙な気持ちよさを感じる。

 ゆっくりと時間をかけられるほど、かえって美郷は昂ぶりを覚えていた。

 やがてバスローブの帯が解かれると少しずつ前が開かれ、はだけた胸と真新しいショーツ姿があらわになった。

「あっちへ…」

 美郷がベッドのほうを眼で示すと、小さくうなずいて腰を浮かせた村川は彼女をお姫様抱っこで抱えた。

「重いですから…」

「全然軽いよ」

 何事でもないように村川は美郷を抱き上げると、幼児をあやすように揺すった。

「あ、いや… こわい…」

 思わず彼に抱きついて声を出した美郷の唇は村川にふさがれ、そのままベッドにゆっくりと下ろされた。

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