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僕の母さん
第9章 クリスマスプレゼント

母の真弓が大学生の青二才に求婚されているとも知らず、
息子の達郎は部屋にガールフレンドの彩也香を招き入れていた。

部屋中には脱ぎ捨てた衣服や読みかけの雑誌などが散乱している。

「うわ~、聞きしに勝る男の子の汚部屋そのものね」

「だから、片付けていないって言ったろ」

「まあいいわ、変に人が大勢いて賑やかな所より、
こうして二人っきりの方がムードあるし」

ほら、突っ立っていないで、あなたも座りなさいよと
彩也香はマイルームのように達郎に断りもなく、ベッドに腰かけるとここへ来てとポンポンと自分の隣のスペースを叩いて達郎に座りなさいと命じた。

ここ、俺の部屋なのに、何でお前に指図されなきゃいけないんだよと思いながらも、達郎は素直に彼女の隣に腰を降ろした。

「達郎くん…」

彩也香は隣に腰かけた達郎と向かい合わせになるように座り直すと、脇に置いたバッグをゴソゴソと掻き回して、バッグの中から長方形の小箱を取り出した。

「はい、これ、メリークリスマス」

そう言って包装紙に包まれた小箱を達郎に差し出した。

「これって…」

「もちろんクリスマスプレゼントよ
これ以外にもプレゼントはあるけれど、それは後のお楽しみ」

胸に押し付けられるようにして、達郎はそれを受けとる。

『マズイ!まずいぞぉ!』

まさか彩也香からクリスマスプレゼントを貰えるとは思ってもいなかったので、達郎は何も用意していなかった。

そして…ハッと気づいた。
母の真弓に渡そうとしていたプレゼントを机の引き出しに隠しておいたのだ。
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