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僕の母さん
第2章 達郎が性に目覚める

「ねえ達郎、やっぱり父さんがいないっていうのは辛い?」

その夜、真弓は思いきって達郎に問うてみた。

「別に…」

離婚して寂しいだろうと、ついつい買い与えてしまったスマホを片時も離さず、真弓が思いきって辛いの?、と問いかけた時も達郎はスマホゲームに夢中でピコピコと電子音を鳴り響かせていた。

「達郎のためだったら、母さん何でもするから遠慮なく言ってね」

「何でも?」

「うん、何でもするわ」

「じゃあ…今夜から母さんと一緒に寝たいな…」

「えっ?一緒に?」

「ダメ?何でもするって言ってくれたじゃん」

そう、何でもするって言った手前、
何を甘えてんのよと突き放すことは出来なかった。

体はそれなりに成長してきているけれど
まだまだ親に甘えたい子供なのねと
「ベッドは狭いけど、それでもかまわない?」と、一つのベッドで寝てあげる事を約束した。

夕食を共にし、洗い物や食器の後片付けを手伝ってくれる達郎に『どこをどう見ても陰キャラとは思えないわ』と、担任の先生の見る目は確かなのかしらと疑ってしまう。

「お風呂、先に入ってしまってね
母さん、食後の運動をするし、汗をかいちゃうから後でかまわないから」

「うん、じゃあ、お風呂を済ませて先にベッドで待っているからね」

何気なく言った息子の一言に真弓はドキッとなった。
その口振りは、まるで別れた芳郎がよく口にしていたセリフだったからだ。
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