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僕の母さん
第12章 破談
車が何台も駐車出来るようなガレージに車を停めると「さあ、行こうか」と辰己にエスコートされて玄関に向かう。
訪問をあらかじめ知らせてくれていたのか、
玄関を開けると一人の女性が「いらっしゃいませ、お坊っちゃまお帰りなさいませと」迎えられた。
『うわぁ~…メイド服を着用している家政婦さんを初めて見たわ…』
メイド服を着る女性なんて秋葉原ぐらいかと思っていただけに驚いて目を白黒させてしまう。
案内された応接室に40代とおぼしき男女が真弓を待ち構えていた。
「紹介するよ。僕の父と母だ」
辰己に紹介されて真弓は「はじめまして、高坂真弓と申します」
「ようこそ、壮亮の父の辰己健太です」
初対面だが、辰己健太の顔は見知っていた。
なぜなら、テレビのニュースのインタビューなどで何度か見たことがあったからだ。
「母の真梨子です」
柔和な笑顔で迎え入れてくれた父親の健太と違って
母親の真梨子は真弓を敵対するような鋭い視線を浴びせかけ、微笑みを浮かべてはいるのだが、その目は少しも笑っていなかった。
「壮亮から聞いたよ…二人は結婚の約束をしているんだって?」
結婚という二文字を口にした瞬間から、
健太の目に真弓をい抜くような人を値踏みするような目付きに変わった。
その瞬間に『ああ…やはり私は気に入られていないのだわ』と感じずにいられない。
「失礼ですけど、あなた、バツイチでお子さまがいらっしゃるんですって?」
母親の真梨子は、よりによって息子の壮亮は初婚なのに、
どうしてあなたのような中古品を好きになったのかしら?と
不満げな表情を隠そうともしなかった。
当然だろう…
自分も息子の達郎が訳のわからない年増の女を嫁にしたいと紹介されたら「ちょっと待ちなさい」と達郎に釘を刺すと思った。

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