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僕の母さん
第12章 破談
その三者懇談の帰り道…
「母さん、僕やっぱり公立高校でいいよ」
母の真弓はジムでヨガのインストラクターをやっているが、
それほど高額なお給料ではないと達郎は知っている。
ただでさえ生活に余裕がないのに私学なんて贅沢だと思った。
「なにバカなことを言ってるの!
これはあなたが頑張ってきたからこそのチャンスじゃないの
学費のことなんか子供が心配することじゃないわ」
そう言ってはみたものの
どう節約したって学費を捻出出来そうもない。
でも、あの有名高に合格してしまえば成績次第で大学までフリーパスを手にいれることが出来るチャンスなのだ。
別れた夫は学歴もなく、出世など見込めない男だったし、
安い給料であるにも拘らず性欲だけは旺盛で
挙げ句の果てには妻と子供を捨てて若い女のもとに行ってしまった。
だから、達郎には同じような過ちをさせたくはなかった。
有名校から大企業に就職してもらって、人生を謳歌してもらいたかった。
『学費…』
どうしようかと悩んだ挙げ句、
真弓は辰己健太に連絡を入れた。
- これはこれは真弓さん、ようやく決心がつきましたか? -
彼の言う決心とは、辰己健太との愛人契約の件だった。
「約束を覚えていますか?私があなたの愛人になれば…
その…お手当てをいただけるという…」
- ええ、もちろんですとも
そんじょそこらのサラリーマンに引けを取らないお手当てを支払いますよ -
「それでその…おいくらぐらいいただけるのでしょうか…」
- ん?なにやら切羽詰まったものの言い方だねえ…
そうだなた…月に30万でどうかな? -
30万円あれば、今から積み立てて行けば何とかなるかもしれない…
「わかりました…ふつつかものですが、どうぞよろしくお願いします」
通話を終えると、今度は彼の息子である恋人の辰己壮亮に電話をした。

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