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僕の母さん
第2章 達郎が性に目覚める

『あの子…射精したんだわ!』

息子が大人への階段を一歩駆けあがった喜びと
それを誘発したのが自分の体だと思い知らされて真弓はへこんだ。

洗面所からバシャバシャと汚したパンツを手洗いしている音が聞こえてきた。
なんと言ってあげればいいんだろう…
『おめでとう、大人の体になったのよ』と言えばいいのかしら?
そんなことを言えば私の体で射精したとバレて彼の自尊心を傷つけるかしら?

ああ、こんな時に父親がいたらなんと言ってくれるのだろう…
真弓は母子家庭の難しさを痛感していた。

やがて濡れたパンツを手にして達郎が寝室に戻ってきた。

射精を終えて清々しい気分でいるのかと思いきや
彼はポロポロと涙をこぼして泣きじゃくっていた。

これでは、とても寝た振りなんかでやり過ごせるはずもない。

「どうしたの?」

今にもさっき起きたとばかりに、目を擦って起き上がった。

「ぼ、僕、変な病気になっちゃったみたい」

「えっ?病気?」

「だって、ちんちんから膿が出たんだ!
白くてドロドロの膿が…」

もう誤魔化せないと真弓は優しく彼を抱き締めた。

「膿じゃないのよ…それはねえ…精液と言って、赤ちゃんを作るのに大切な種なの」

「精液?あれが?」

どうやら中学校の保健体育でおぼろげに教えられていたようで、彼は泣きじゃくるのをやめた。
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