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僕の母さん
第16章 大団円
入学式当日まで達郎と同じ学校に通えなかったことで不貞腐れていた紗耶香であったが、入学式に隣の席についた八神慎太郎という男子生徒に「気分でも悪い?あまり浮かない顔をしているけど」と声をかけられて、彼の顔を見て一瞬で紗耶香は恋に堕ちた。
どことなく達郎に似た雰囲気の慎太郎と同じクラスになったことで、彼女の方から交際を申し込んで、今ではクラスの誰もが認めるラブラブな関係になっていた。
「ママは今夜もお出掛け?」
最近はお肌の手入れに念入りになったことで
母に新しい彼氏が出来たのだと紗耶香はピンと来ていた。
「ごめんなさいね…夕飯、どこかで食べてくれる?」
「全然オッケーよ
放課後、慎太郎と映画に行く約束をしているし」
紗耶香が達郎と同じ学校に行けなくなって
引きこもりやグレたりしないかと危惧していたが、
それも取り越し苦労に終わりそうでホッとしていた。
娘の紗耶香が中学生のころ、成績が伸び悩んでいたことで佐知子は担任の秋吉先生を色仕掛けで意のままに操ろうとしたのだが、いざ蓋を開けてみると「佐知子さんすいません…こんなペーペーの平教師に内申点の操作なんて無理でした」とバカ正直に白状する秋吉先生の人柄に惚れて、娘の紗耶香が意中の学校に進学できないとわかってからも、月に二度ほどの割合で彼と会瀬を重ねて、今では紗耶香の進路の相談などそっちのけで彼にのめり込んでいた。
今夜もまた会って欲しいと連絡があったので、
佐知子はイソイソと彼とのデートに備えて体の手入れをしていた。
さて、真弓との愛人契約を破棄した辰巳電子の社長である辰巳健太は、真弓を手離すとすぐに銀座のクラブのママを愛人として囲うことに成功した。
しかし、好事魔多しというやつだろうか、
多忙に加えて年齢的にかなり無理なセックスをしたためか、
情事の最中に心臓発作を起こして、呆気なく愛人を抱きながら腹上死した。
息子の壮亮は大学を卒業して、ちゃんとした社会人になってから再度、真弓に求愛しようと計画をたてていたのだが、そのような事情で急遽大学を中退して辰巳電子の二代目社長として右も左もわからない社会に投げ込まれた。
こうなると、女の尻を追いかけ回す暇などなかった。
なにせ、若干21歳という若さでありながら、彼の双肩には多くの社員の生活がかかっていたからだ。

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