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僕の母さん
第16章 大団円
達郎と母の真弓は見事なまでにオンとオフを使い分けた。
買い物に出掛けると、達郎は真弓に指一本触れることなく思春期の男の子らしく「今夜の夕飯は何がいい?」と真弓が聞いても「何でもいい」とブスッと不貞腐れた態度を取った。
それでいてさりげなく荷物を持ってあげたりと言葉使いとは裏腹に母を大事にしたりするものだから、ご近所の方々には「よくできた息子さんだこと」と仲の良い親子と思われていた。
しかし、ひとたび家の中に入ると
靴を脱ぐ暇さえ与えず、すかさず背後から真弓を抱きしめる。
「もう!甘えん坊なんだから…」
そんなことを言いながらも、真弓は嬉しそうに後ろから肩を抱く達郎の手をとって自ら自分の胸に導いてあげた。
そうされるとわかっているよとばかりに達郎の指はむにゅむにゅと動いて真弓の豊満な巨乳を揉みまくりながら、先日の事を思い出していた。
達郎は放課後に最近出来たばかりのドラッグストアに立ち寄り母とのセックスライフを楽しむためにコンドームを購入しようとしていた。
『えっと…極薄、極薄っと…あった!これこれ!』
数あるコンドームの中でも極薄のコンドームが人気なのか
陳列だなに最後の一個が残っていた。
それを手にしようとした瞬間、隣からサッと手が伸びてきて、その最後の一個を横取りされた。
『ったく!どこの誰だよ!』
腹立たしくて、達郎は何気にどんな奴なのかとコンドームを手にした奴の顔を拝んでやった。
「と、父さん?!」
コンドームを横取りしたのは、母と離婚した達郎の父である芳郎であった。
いきなり「父さん」と呼ばれて、芳郎も思わず達郎の顔を見た。
「た、達郎?達郎なのか?!」
四年ぶりの再会がドラッグストアの避妊具売場の前という、なんとも間抜けなシチュエーションだった。
「え、えっと…元気でやっているか?」
芳郎は何とも気まずそうに達郎にそう言った。
気まずそうにしていたのは父が一人で買い物に来ていたわけではなく、カートを押した美人が「あなた、買ってくれた?」と声を掛けてきたからだ。
『そうか…この女が離婚の原因の女か…』
カートを押した女性が「誰?知り合い?」と芳郎に声をかけた。
「いや…何でもない…行こうか」
『じゃあな』そんな意味合いを込めて、ほんのちょっぴりだけ手をあげて別れの挨拶をして、芳郎は達郎のそばから離れていった。

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