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僕の母さん
第3章 一度だけだからね

中学校の校門の前に到着すると、
生徒たちがゾロゾロと下校してくる頃だった。

『あの子、どこにいるのかしら?』

真弓は我が子を探してキョロキョロしていた。
LINEでお昼を食べに行くから終わる頃には迎えに行くわねと連絡を入れたが、未読スルーされていた。

こうなりゃ、何がなんでも校門から出てくるところを取っ捕まえなきゃと、大勢の生徒の中から我が子を探しだそうと躍起になっていた。

「あっ!いた!」

友達がいないのか、息子の達郎はポツンと一人だけで地面を見つめながらトボトボと生きていること自体が面白くないとばかりに、どんよりとしたオーラをまとわせていた。

「達郎、見っけ!」

駆け寄って息子の肩を抱くと、触るなよとばかりに腕を振り払われた。

「ねえ、あの時、母さんが頭を叩いたのは謝るわ
私だって…どうしたらいいかわからずに、おかずにされていたことが恥ずかしいやら情けないやらで、つい手が出ちゃったのよ」

ほら、母さんは女だから、男の子の生理現象をよく理解していなくて…

真弓は両手を合わせて拝むようにして頭を下げた。

これだけ謝っても達郎はヘソを曲げたままで、
プイッとあらぬ方向に顔を向けて真弓から逃げようと足早に歩き始めた。

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