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僕の母さん
第1章 離婚

清水芳郎は手にしていたコンビニ袋からビール缶を取り出すと、プシュっとリングプルを引き上げ「飲むでしょ?」と差し出した。

生まれてこのかたビールなんて飲んだことがなかったけれど、
「飲めませんから」と言って隙を見せるのもイヤだったので、彼の手からビール缶を奪い取るとグビグビと無理矢理に喉に流し込んだ。

『うえ~っ!なにこれ!こんな苦いものをみんな喜んで飲んでるの?』

暗がりでよかった。
今の真弓はいかにも飲めませんと言っているように顔をしかめていた。

「おっ!けっこうイケる口だね」

そう言って清水はコンビニ袋から、もう一缶を取り出すと
自分も美味しそうにグビグビと音を立てて喉に流し込んでいた。

少し呑んだだけなのに
胃袋がカァ~っと熱くなり、頬はカッカッと燃えるように熱を帯びた。

真弓が酔いはじめたのを知らずに、
彼もまたアルコールによって饒舌になってゆく。

コンビニの仕事の話から始まって

彼は聞きたくもないのに大学を卒業したものの、
就職浪人として苦労していることを聞かされた。
以外と悪い人ではなさそうだなと、真弓も心を開いて学生生活の話で盛り上がっていく。

そして、今度は恋人はいるかという話になって、
彼氏どころか男の友人さえいないのに、真弓は「彼氏ならいるわ」とウソをついて、そろそろ彼氏が訪問してくるから早く帰らないといけないと話を切り上げようとしたのですが、彼は逆に自分をアピールしはじめました。

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