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僕の母さん
第5章 サマーバケーション

「お、お前!なにやってんだよ!!」

「あら、起きたの?一人で退屈だから、男子のココってどんな感じなのか触らせてもらっていたの」

「しっ!声が大きいよ!」

達郎は、慌てて人差し指を一本立てると唇の前で「黙れよ」のサインを出した。

「あら、達郎、起きたの?
さっきまでグースカ寝ていたのに」

後部座席の声を耳にして真弓が覗き込む。
それよりも素早く彩也香の手が達郎の股間から離れた。

「男の子と女の子だからギクシャクするかと思っていたんだけど、案外と二人は仲良くなれそうじゃない」

そんなことを言いながら運転手の佐智子さんも後ろを振り向くものだから、三人は同時に「前見て!」と叫んだ。

事故を起こすのではないかとヒヤヒヤしたが、
やがて四人を乗せた車はおんぼろ旅館に到着した。

「あら…HPの写真に比べて、ずいぶんと古めかしい旅館ね」

車から荷物を下ろしながら佐智子さんはショックを受けているみたいだった。

「HPなんてそんなものよ
今の時代、加工もせずにそのままの姿を載せるようなことはしないわ」

そんな上等な旅館なら、お盆の時期だっていうのに空室なんて残っていないわよと
真弓は、ある程度のボロさは覚悟していたようにそう言った。

「建物が古くてオンボロでも料理が美味しくて温泉なら文句はないわ」

それに水着を着て混浴だなんて、まるで温水プールみたいで面白いじゃないと、佐智子の娘の彩也香は見た目が古めかしくてもかまわないと、長時間のドライブだったから背伸びをして腰に手を当てて上体を後ろに反らした。

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