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僕の愛する未亡人
第16章 欲しがる未亡人 本間佳織⑤
だが理央は、唇が離れたあと、視線を泳がせてしまう。

「――続き、して? 本間さんなら、大丈夫だよ……見たがってるもん」

安心させるように、冴子は理央の体を撫でた。佳織も理央に近づいて、彼の戸惑う目を見つめた。
そしてもう一度、唇を寄せる。
呼吸が混ざり合い、部屋の空気がわずかに揺れた。
誰が先に動いたのかも、もう分からなかった。

冴子が理央に再び唇を重ねる。そして、次第に舌が絡まり合う。
二人の体が激しく動くたび、ベッドも軋む。
佳織は冴子の肌を撫でることしかできなかったが、ベッドの軋む音が、佳織の心拍と同じリズムを刻んでいるように思えた。
確かに、自分が二人の関係の中に溶け込んでいる。

「んっ……んっ」

冴子がナカを突かれるたびに、密着する唇の隙間から甘い吐息を漏らす。
そうしながらも、冴子の指先は佳織の手を探し当て、そっと握る。
その温もりが、佳織の理性を静かに溶かしていった。

「は……んっ、だめ、本間さんに見られながら……ん、いっちゃう……」

「僕……も」

「ん、いいよ……いって、あ……ぅ、いくっ……」

理央の体が激しく動くと同時に、冴子が佳織の指先を強く握る。
冴子の体内が激しく収縮するせいで、理央も我慢できなさそうに、冴子の腰をつかんだ。

「…え……」

佳織は思わず呟く。
理央が肩を震わせ、絶頂に達したのがわかった。だが――

(佐藤くん、飯塚さんのナカに…?)

理央は避妊をしていなかった。理央の肩が小さく震えるのを見て、ただ事実だけが、胸の奥に重く沈んでいく。
その瞬間、佳織の体の芯が熱くなる。
けれど、それは快楽とは違う。
現実の重みが一気に押し寄せてくる感覚だった。

子を宿すということが、どれほどの意味を持つか――
佳織には、わかりすぎるほどわかっていた。

息が詰まるような静寂の中で、冴子がわずかに顔を上げる。

「や、ば……気持ちいい……」

理央の目の奥に宿る充足の色を見て――佳織の胸の奥が、違和感でいっぱいになる。
だが、冴子は穏やかな表情のまま、理央の頬を撫でている。
それは二人の間で交わされた約束事だったのだから、当然だ。

(……どうして……?)

頭の奥が熱くなり、思考がうまく回らない。
避妊をしていない。それだけの事実が、あまりに生々しく胸に迫る。
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